大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和54(あ)56 判決

主 文

原判決中「当審における未決勾留日数中一〇〇日を原判決の刑に算入す

る。」との部分を破棄する。

その余の部分に対する本件上告を棄却する。

理 由

検察官の上告趣意について

記録によれば、被告人は、本件起訴前である昭和五三年四月二八日、第一審判決

判示第一(一)の盗犯等の防止及び処分に関する法律違反及び第二の道路交通法違

反等の事実(ただし、罪名は窃盗、道路交通法違反)により勾留状の執行を受け、

その後一、二審を通じて引き続き勾留されていたが、福岡地方裁判所直方支部は、

同年七月二四日被告人を懲役二年六月に処する等の判決を言い渡し、これに対し被

告人が同年八月五日控訴を申し立てたところ、原審は、同年一二月六日右控訴を棄

却するとともに控訴審における未決勾留日数中一〇〇日を第一審判決の刑に算入す

る旨の判決を言い渡したものであるが、他方被告人は、(一)昭和五〇年五月一五

日直方簡易裁判所において窃盗罪により懲役一年、三年間執行猶予の判決、(二)

同年一一月一三日同裁判所において窃盗罪により懲役一年、四年間執行猶予、保護

観察付きの判決のそれぞれ言渡しを受けたが、昭和五一年四月一九日右各猶予の言

渡しが取り消され、同年一〇月一八日右(一)の刑の執行が開始されたのち、刑の

執行の順序が変更されて昭和五二年七月一八日前記(二)の刑の執行が開始され、

その後昭和五三年三月二日被告人は仮出獄したが、同年六月二九日付右仮出獄取消

決定により、同年七月一日右(二)の残刑の執行が開始され、同年一一月一八日そ

の執行が終了し、翌一九日から前記(一)の残刑の執行が開始され、原判決当時被

告人はなお受刑中であつたことが明らかである。

そうすると、被告人に対する本件の原審における未決勾留の全期間が右各刑の執

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行と重複することが明らかであり、原判決中原審の未決勾留日数を本刑に算入した

部分は、論旨引用の当裁判所の判例(昭和二九年(あ)第三八九号同三二年一二月

二五日大法廷判決・刑集一一巻一四号三三七七頁、同四七年(あ)第一七五〇号同

四八年三月一五日第一小法廷判決・裁判集刑事一八六号二八七頁、同五〇年(あ)

第九八七号同五〇年一一月二八日第三小法廷判決・裁判集刑事一九八号六九九頁、

同五〇年(あ)第二三八五号同五一年六月二九日第三小法廷判決・裁判集刑事二〇

一号九三頁)に反して刑法二一条を適用した違法があり、論旨は理由があるから、

刑訴法四〇五条二号、四一〇条一項本文、四一三条但書により、原判決中「当審に

おける未決勾留日数中一〇〇日を原判決の刑に算入する。」との部分を破棄し、そ

の未決勾留日数を算入しないこととし、その余の部分に対する上告は、上告趣意と

して何らの主張がなく、したがつてその理由がないことに帰するから、同法四一四

条、三九六条によりこれを棄却し、当審における訴訟費用は、同法一八一条一項但

書により被告人に負担させないこととし、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判

決する。

検察官古川健次郎 公判出席

昭和五四年三月二三日

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 栗 本 一 夫

裁判官 大 塚 喜 一 郎

裁判官 本 林 讓

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